ワスプの命から学んだこと(続き)
| お庭で見かけるビーハウス |
脚を折畳み、息絶えた一匹のワスプがファルクの手のひらの中に横たわっていたのでした。さっきから私たちの周りを沢山飛び回ってるワスプを何故いまさらファルクが捕まえたりしたのか、そして物や自然、エネルギー資源までももの凄く大切にするファルクがわざわざワスプを殺すのか。駆け寄った娘と私は思わずお互い顔を見合わせ首を傾げました。
「これ、見える?」
「これ、見える?」
ワスプの死体を少し割き、ファルクが指さした先には黄色の鋭い細い針のようなものが見えました。(おそらく、いや当然ながらこれが針よね。それくらい私でも分かるけど…?)と思いましたがファルクは言いました。「彼女は人を刺すと、この針を体から失うんだよ。そしてこの針を失うということは彼女は死ぬんだ。そのことを彼女は知ってるんだよ。わかるかい?」
「She? ってことは女なの?針がなくなると死んじゃうの?」娘は興味深そうにファルクの手のひらを覗き込みながら聞き返しました。「そうだよ。彼女自分が死ぬことを知っていて刺すんだよ。命を捨ててまでも刺すということはそれ程までも彼女は身の危険を感じてるんだね。刺さなきゃいけないぐらいの危機をね。」ハッとした表情の娘を前にファルクはさらに続けました。
「Šíkaが怖がって素早い動きを見せたり彼らを追い払おうと刺激を与えたりしなきゃ、滅多に向こうから攻撃しては来ないよ。だって刺すと死ななきゃいけないって彼女たちはわかってるんだから。」
そう言い終わるとファルクはワスプの死骸をつまみあげ、食べ終わったイチゴのヘタと一緒に飲み終わったバターミルクのカップへと片付けました。
「私にそれを見せるためにこの子を殺したんだ...ファルク。」娘はもう一度死骸を見せてとカップから取り出したワスプを神妙な面持ちでじっと見つめもう一度カップにそっと戻してました。結局彼が娘に言いたかったことは、どうしたら刺されないで済むか?ということではなくて、蜂と人間が共存するための最良のヒントを幼い娘に教えてくれたのですね。
ワスプに限らず今回エアフルトでは蜂と人間のバランスのとれた関係性を築くための様々な工夫を間近で見ることができました。例えば蜜蜂のための手作りビーハウスや、一年中何かが咲くという蜜蜂のための花の種など。ファーマーズマーケットでも必ずと言っていいほど蜂蜜を見かけます。自然と人間のバランス関係を上手く保ち、メリットを共有し合っているドイツの人々。苦手意識のある相手でも一歩踏み込んで相手を深く知る事で得られる円滑な関係性、人間関係に置き換えたとしても有効かもしれませんね。
| 一年中何かが咲く蜂のためのブレンドシード |
ワスプに限らず今回エアフルトでは蜂と人間のバランスのとれた関係性を築くための様々な工夫を間近で見ることができました。例えば蜜蜂のための手作りビーハウスや、一年中何かが咲くという蜜蜂のための花の種など。ファーマーズマーケットでも必ずと言っていいほど蜂蜜を見かけます。自然と人間のバランス関係を上手く保ち、メリットを共有し合っているドイツの人々。苦手意識のある相手でも一歩踏み込んで相手を深く知る事で得られる円滑な関係性、人間関係に置き換えたとしても有効かもしれませんね。
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